研究概要 |
本研究は、シリコントランジスタ中のドナー(あるいはアクセプター)の位置同定、及びドーパントレベルを用いた新しい素子の開発を目指している。22年度は、主に以下の成果があった。 1 リンドープ薄層SOIにおける巨大シュタルク効果とリンドナー電子離脱過程の観測 リンをドープした薄層SOIを用いて、エレクトロルミネッセンス測定を行い、巨大シュタルク効果を観測するとともに、DO-hラインの電界依存性を調べ、急峻な強度現象がリンドナー電子離脱過程に関連していることを明らかにした。本結果は、リンドナーを用いた電荷操作を実現する上で重要な知見である。(J. Noborisaka et. al., Appl. Phys. Lett.掲載)。 2 ドーパントリッチ環境下での単一ドーパントを介した電流測定 ドーパントリッチ環境下においても、電流電圧特性の立ち上がり電圧では、その電流が単一のドーパントにより支配されていることを明らかにした。また、その電荷状態変化を、KFMを用いて観測した。(M. Tabe et. al., Phys. Rev. Lett.掲載)。 3 チャージポンピング法の基礎実験 極微小ゲートのMOSトランジスタを用いて,高精度・高精細なチャージポンピング測定を実施し,これまでに観測できなかった微小信号を検出した.詳細な検討を行い,個々のMOSトランジスタに含まれる界面トラップ数をより正確に評価できる新たな評価法を考案した. 4. トランジスタ中ドーパントの荷電状態. pチャネル極薄SOI MOSFET内のボロンの荷電状態を考慮して、有効質量方程式とポアッソン方程式を連立して解くことによりホール密度のゲート電圧依存性を計算し、実験結果が定性的に説明できることを明らかにした。
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