研究課題
本研究の課題は、「情報化ネットワーク社会に向けた専門的数値技術ライブラリの研究と開発」であり、数理ファイナンス/金融工学に関連する最適化技術、応用統計学、確率解析等の数値計算の最先端技術の開発を行うことを目標とする。平成22年度の研究実績は次の通りである。(1)半正定値計画問題は非常に強力な問題記述能力を持ち、主双対内点法により実用的に解くことができるという特徴を持った最適化問題である。この半正定値緩和を用いて多項式最小2乗法や多項式最適化問題を解く枠組みを開発した。これにより、数理ファイナンスや金融工学から生じる問題を解く道を開いた。(2)金利変化見通しと個別企業価値変動を考慮したトップダウン・アプローチによる信用ポートフォリオのリスク計算や相互作用型の格付変更強度モデルによる格付変更履歴データの分析を行なった。また、解約リスクやデフォルトリスクについての総合的な研究を行なった。(3)線形計画法は最適化の中でも最も基本的な技術である。これまでDanzigの単体法は最悪のケースでの計算量の解析が十分でないことが問題であった。今回の研究により、線形計画法をDanzigの単体法で解くときの反復回数の上界を求めることに成功した。また、Klee Mintyの問題を変形することにより、その上界がタイトであることを示した。以上の研究成果を合計14本の論文(うち査読つき9本)で発表を行った。そして、学会やワークショップで計15件(うち招待講演5件)の発表を行い、上記の研究成果を内外に周知した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (15件)
Mathematical Finance
巻: (In press)
Operations Research Letters
巻: Vol.39 No.2 ページ: 88-91
京都大学数理解析研講究録『最適化モデルとアルゴリズムの新展開』
巻: No.1726 ページ: 177-183
Handbook on Semidefinite Cone and Polynomial Optimization
Journal of Global Optimization
巻: Vol.46 ページ: 1-23
Asia-Pacific-Journal of Operational Research
巻: Vol.27 ページ: 15-38
Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics
巻: Vol.27 ページ: 125-160
JSIAM Letters
巻: 2 ページ: 65-68
日本応用数理学会論文誌
巻: 20(3) ページ: 183-202
日本銀行金融研究所『企業研究』
巻: 29巻3号 ページ: 19-44
オペレーションズ・リサーチ
巻: 55巻 ページ: 387-392
Technical Report (Department of Mathematical and Computing Science, Tokyo Institute of Technology)
巻: B-463 ページ: 1-24
巻: B-460 ページ: 1-26
IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering