研究概要 |
昨年から引き続き、細菌細胞壁ペプチドグリカソ(PGN)受容体Nod1, Nod2やPGN認識タンパク質群との相互作用の解析のために8糖以上のPGNフラグメントの効率的な合成を目指し、新規ルートを検討した。その過程でTroc基の新規脱保護法を見出した。Nod1, Nod2の蛍光標識体の合成について検討し、ジアミノピメリン酸(DAP)を省むNod1リガンドについては生物活性を有する標織体の合成に成功した。 ピロリ菌や歯周病菌ポルフィロモナス・ジンジバリスのような慢性炎症の起因菌の産生するリポ多糖は弱い免疫増強活性を示す。本研究では昨年度に続き、ピロリ菌、ジンジバリス菌のリピドAならびリポ多糖の合成研究を行った。その結果リピドAに酸性糖Kdoの結合したリポ多糖部分構造の合成に成功し、これらの寄生菌由来のリピドAならびにKdoリピドAが特異なIL-18誘導活性を有することを明らかにした。 固相法による糖鎖合成法の確立N-結合型糖タンパク質糖鎖を主な対象として、固相法による効率的合成法を検討した。マイクロフロー合成によるα-シアリル化、β-マンノシル化、グリコシルアスパラギン合成などの糖鎖フラグメント原料プロセスをさらに拡大した。またオキシブチレン架橋ポリスチレンとフルオラス溶媒法による固相への試薬濃縮効果を利用した合成法を確立し、世界で初めてシアル酸残基を含むN-結合型糖タンパク質糖鎖の合成に成功した。 昨年度に引き続き高速電子環状反応を利用した新規プローブを用い、糖タンパク質や糖クラスターのPETイメージングについて検討した。
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