がん細胞だけに特異的に結合するペプチドの探索は、世界の研究者が試みているがいまだに成功していない。その大きな原因は、生体中から離れた条件で探索が行われていることにある。本研究では、特定のがん細胞にだけ結合するペプチドを生体中に近い条件で探索する新手法を構築する。すなわち、多数の異なる蛍光基で標識されたペプチドライブラリーを作製し、その溶液を細胞と接触させて、細胞に結合あるいは導入されたペプチドをその蛍光スペクトルから同定する。これを繰り返すことによって、もっとも強く細胞に結合するペプチドを見出す。実際に、乳がん細胞に結合する8量体ペプチドを見出すことに成功した。
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