研究課題
1.2009年度に実施した調査の内容(1)フィールド調査(a)先端事例-(1)南北アメリカ:代表者高橋をアルゼンチン・チリに、連携研究者木村をペルー・ボリビデに派遣し、移民受入地域の現状とアメリカ合衆国やアルゼンチンへの人の流れの実態を調査した。(b)先端事例-(2)欧州:連携研究者足立をドイツに、連携研究者増田をフランスに派遣し、トルコ系ゲストワーカーやマグレブ・西アフリカ旧植民地系などムスリム移民の現状とホスト社会の対応を調査した。(c)参照事例-インド洋移住システム:研究分担者荒、連携研究者森山・遠藤・足立・木村をケニア・タンザニアに派遣し、スワヒリ文化圏の人の流れの最新情勢につき情報を収集した。(2)研究会の開催(a)事例研究会を3回開催して現地調査結果を報告した。(b)理論研究会を2回開催し、1回はチコ・ウィテカーらゲストを呼んだ。(3)二次文献を中心に資料を収集した。2.今年度までに明らかになったこと。(1)在来型の(1)「永住・同化」移民と異なり、戦後~石油危機(1945~1973年)の時期の移民は、自己の文化的・言語的・宗教的独自性を守ろうとしてホスト国家・社会と交渉(ネゴシエート)する、というのが(2)「デニズン」という考え方のもとの形であったが、冷戦後(1990年~)のいわゆる(3)ニューカマーは自己を「通過者(トランジットパースン)」と位置づけ、文化的独自性を失う怖れを初めから感じないのでかえってネゴシエートしない場合がある。(2)「グローバル化」は従来ともすれば(2)と関連づけて論じられがちであったが、(2)は実は国民国家の厳重な管理のもとに移住したのであり(アメリカのメキシコ系は例外だが、インドシナ系は該当する)、むしろ(3)の急速な増加と結びつけて考える必要がある。(3)(3)の型の移住は「トランジット」との自己規定にかかわらず、実は滞在期間が長、ホスト国家・社会との間の相互作用の量も大きい。
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社会科学研究(成都,四川省社会科学院) 第2期
ページ: 159-164
世界の歴史18 ラテンアメリカ文明の興亡(中央公論新社[中公文庫])
ページ: 13-63,283-509,549-571
生き延びること-生命の教養学V(増田分担執筆)(慶應義塾大学出版会)
ページ: 147-174
自然災害と復興支援(山本分担執筆)(明石書店)
ページ: 361-382
歴史学の世紀:20世紀韓国と日本の歴史学(韓国語、外村分担執筆)(高麗書林)
ページ: 355-394