研究課題/領域番号 |
20241057
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 均 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50154844)
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研究分担者 |
荒 このみ 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (90119529)
山本 博之 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (80334308)
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キーワード | 移民 / ヒスパニック / ニューカマー / 同化 / 統合 / 移民の子ども / ロマ |
研究概要 |
1.2010年度に実施した研究(1)フィールド調査の実施(a)南北アメリカ:7~8月に代表者高橋を米国・メキシコへ、12~1月に連携研究者木村をブラジル・ボリビア・ペルーに派遣し、移民送出地からの人の流れと国境地帯の調査をした。(b)ヨーロッパ3月に研究分担者荒、連携研究者遠藤・増田・足立・外村をルーマニア・ポーランド・フランスへ派遣し,ロマを始めとする人の流れとホスト社会との関係を調査した。(2)シンポジウム・研究会の開催(a)10月に東京大学地域文化研究専攻と共催でシンポジウム「移民・ホスト社会・人権」を開催し、研究代表者高橋、連携研究者増田・外村が報告し、討論を行った。(b)事例研究会を3回開催して現地調査結果を報告した。(c)理論研究会を2回開催した。(3)二次文献を中心に資料収集・整理を進めた。2.今年度までに明らかになったこと(1)移民第一世代のホスト社会における〈適応〉には三類型がある。(1)〈同化型〉。(2)自己の文化的・言語的・宗教的独自性を守ろうとして、団体形成を通じてホスト社会とネゴシエートする〈統合型〉。(3)グローバル化のもとで可能になった、同化もネゴシエートもしない〈トランスナショナル適応型〉。(2)(a)しかし親が〈トランスナショナル適応型〉であっても、ホスト社会で生まれ社会化するその子女は〈適応〉のために親よりはるかに深くホスト社会に〈同化〉することが必要となる。(b)ところが〈トランスナショナル適応型〉の第一世代は〈統合型〉と異なり、子女のためにネゴシエートする志向と能力をもたない。(c)このため〈トランスナショナル適応型〉の第二世代は、親子間の〈役割逆転〉や、差別による社会的上昇の障壁による挫折などの困難を経験し、場合によってはホスト社会の〈アンダークラス〉を形成する可能性がある。(d)グローバル化のもとでホスト国家・社会の側からする、〈統合〉政策を最も緊急に必要とするのは、〈トランスナショナル適応型〉の親をもつ第二世代である。
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