地中海世界における島嶼は、歴史上人間の活動する橋頭堡として重要な拠点だった。本研究は、この島嶼空間に注目し、自然・生態環境に規定された人々の生活・経済空間としてのマイクロエコロジー圏、および各マイクロエコロジー圏が対外世界と切り結んだ経済社会ネットワークの構造分析をめざす。それを、政治的、人為的に設定され認知されてきた「地域」「海域」概念、および歴史的統一体としての地中海世界の存在論に批判的検討を加えながら推進している。分析対象は、ナクソス、マルタ、イビサの各島嶼、および「陸の島嶼」としてのエジプト・オアシスである。
|