研究課題/領域番号 |
20241059
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
粟屋 利江 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (00201905)
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研究分担者 |
澤田 ゆかり 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (50313268)
大川 正彦 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (80323731)
佐々木 孝弘 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (10225873)
岩崎 稔 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (10201948)
吉田 ゆり子 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (50196888)
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キーワード | ジェンダー / 家族 / 女性 / 母性 / 性暴力 / 親密圏 / 3.11 / 結婚 |
研究概要 |
平成23年度は、前年に行った研究成果に従って、さらなる現地調査、資料収集、シンポジウムおよび研究会を開催した。 1.6月24日、小田原琳を中心として、ワークショップ「人として共に生きる 3.11後の未来像を結ぶために ドキュメンタリー映画『山川菊栄の思想と活動 姉妹たちよ、かく疑うことを習え』上映会+パネルトーク《震災・原発・ジェンダー》」を開催し、山上千恵子(ドキュメンタリー映像作家)、栗田隆子(女性と貧困ネットワーク呼びかけ人)、野本京子がパネリストとして参加し、3.11以後の社会とジェンダーの関連性について、理論的構築を進めた。 2.7月8日・12月25日、本科研の研究をもとに出版予定の粟屋利江・吉田ゆり子編『親密圏の脱構築と権力の諸相-交差差別と複合差別』についての研究会を開催し、全体の構想について参加者全員が報告した。 3.10月14日~10月18日、吉田ゆり子をピサで開催されたワークショップに参加および、ジェンダーと都市空間・建造物に関する調査のためにヴェネチアに派遣した。 4.10月17日~10月24日、小田原琳、樋口拓朗(京都大学)、松本哉(文筆業)をウォール街占拠とジェンダー・親密圏の関連調査のためにニューヨークに派遣した。 5.12月13日、2011年「女性人権活動奨励賞(やより賞)」受賞者サラスワティ・ムトゥ(社会活動家)を招聘し、「マレーシアの女性活動家が語る40年の軌跡-草の根からの民主化をめざして」講演会を開催し、ディスカッサントとして徳永理彩(オーストラリア国立大学アジア太平洋カレッジ)の協力を得た。 5.2012年3月13日、ジャーナリストのレベッカ・ソルニットを招聘し、「《災害ユートピア》論から検証する3.11」シンポジウムを開催した。コメンテーターとして渋谷望(日本女子大)、ディスカッサントとして林明仁(東京外国語大学)岩崎稔が参加し、ジェンダーという観点から3.11を検討し、日本社会における暴力という問題に関する実践的示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の所期の目的は、「家族親密圏」という分析概念に焦点を当て、ジェンダー概念を再構築し、「家族親密圏」にある固有な社会的実践や権力関係を分析・解明し、現実に生じている《暴力》に対する解決策を探ることであるが、現時点までに各種のシンポジウムや研究会を開催し、異なった分野・世界各地の研究者との議論を経て、研究分担者が各自の研究にひきつけたジェンダー概念理論の再構築を行っており、その成果である執筆作業に入っているからである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本科研最後の年に当たっており、これまでに構築された理論を最終的に確認するため各人が調査を行う。 また、ジェンダー概念の再構築過程において生じた新たな暴力性、3.11やウォール街占拠といった現実社会での出来事を調査・分析するに当たり、その理論を適用し、解決策を探究することが可能であると判明したため、さらなる理論的発展を目指すことにした。その目的を達成するために今年度も、各種の研究会・シンポジウムを開催する。 そこで得た成果は、著作集にまとめられ、今年度中に粟屋利江・吉田ゆり子編『親密圏の脱構築と権力の諸相-交差差別と複合差別』で明らかにされ、社会へと還元される予定である。
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