本研究はつぎの2点を目指している。 (1)言語横断的手法を用いて、従来の研究では扱われなかった多様な言語の広範囲にわたる音範疇を対象として、聴覚・音響音声学的調査を実施し、音韻構造に関わる多くの聴覚・音響音声学的な新知見をもたらす。 (2)もたらされた豊富な新資料に基づき、音韻構造と聴覚・音響音声学的事実がいかなる関係にあるかという問題に実証的に取り組み、2つの方向をもつ学問的貢献を目指す:ひとつは、(1)音韻特徴(素性)理論の中に聴覚・音響音声学的知見をどのように位置づけるかという理論的問題に具体的解答を提案することであり、もう一つは、(2)言語学習の理論と実践に、実証的な聴覚音声学的知見を、どのように組み入れるかを考察することである。
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