研究課題/領域番号 |
20242009
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
神田 和幸 中京大学, 国際教養学部, 教授 (70132123)
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研究分担者 |
木村 勉 豊田工業高等専門学校, 情報工学科, 講師 (80225044)
長嶋 祐二 工学院大学, 情報学部, 教授 (50138137)
堀内 靖雄 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 准教授 (30272347)
市川 熹 早稲田大学, 人間科学学術院, 客員教授 (80241933)
大杉 豊 筑波技術大学, 障害者高等教育支援センター, 准教授 (60451704)
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キーワード | 手話 / 形態素 / 文法構造 / NMS / プロソディ |
研究概要 |
1. 資料収集 本研究では現存する手話を書籍、資料、インターネット上のデータなど幅広いデータを収集する一方、対話場面における自然発話を収集し、日本手話文法の構築を試みた。手話語彙は約1万語、手話例文は2千例文を収集できた。ただしこの数え方はあくまでも日本語ラベルであり、文字をもたない言語であるからやむをえない。 2. 資料分析と日本手話文法 収集した資料を元に一般言語学的な文法範疇である、主語-述語関係、修飾-被修飾関係などを調べた結果、日本手話は文法関係の多くは語形成レベルで実現され、項が動詞に内蔵される構造をもつことがわかった。項はCLと呼ばれる手型という形態素であり、空間に配置される位置形態素により表現される人称と一致し、それに動きという動詞的形態素が同時的に配列されることで、主語や目的語を内蔵した動詞として実現しているというのが日本手話の一般的動詞の構造であり、動詞そのものが文のような働きをしていることがわかった。またこれまでの手話文法は表情などのNMSにより表現されるという通説が誤りであり、NMSはプロソディックな機能をもつにすぎないことも示された。 3. 古手話の発掘 これは手話者が手話は一語文のように感じるという直観を説明している。 本研究の語彙調査過程で、偶然、日本最古と思われる手話辞書が発見された。この資料については現代語訳、聾者による復刻などの作業が進行中であり、研究終了後に公開される予定である。試論的分析によれば、古手話においても語形は異なるが、同様の語形成が見られ、本研究の文法分析の正しさを示すと考えられる。
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