研究課題
(1)「長期の18世紀」における海域アジア世界の経済発展、海外貿易の展開と後背地域との関連性について、アジアの主要港市(マドラス、ペナン、シンガポール、バタヴィア、広州、長崎)を事例に比較し、アジア商人と現地社会の慣行・規範がアジア地域間貿易の発展を支えた主要な原動力であることを確認した。成果を英文論集として出版する準備に着手した。(2)1970年代以降の「東アジアの経済的再興」の歴史的起源とその原因を探究した。その結果、戦間期から続く「アジア間貿易」がアジア沿海部(海域アジア世界)で復活したこと、それを可能にした冷戦体制と地域主義の発展、さらにその担い手としての新興独立諸国の政治・経済エリートが採用した国家主導の「開発主義」の相乗作用で、工業化の本格的な展開が可能になったことを解明した。(3)2010年6月に、ロンドン大学キングズカレッジのR・ドレイトン教授を招聘し、19-20世紀ヨーロッパの植民地帝国の形成と展開の諸要因を考察した。その結果、列強間の競合よりも非ヨーロッパ世界における政策的協調、さらに現地社会有力者や西欧式の近代教育を受けた新エリート層から構成された「協力者階層」との連携・協力関係が、帝国政策を大きく左右したことを明らかにした。(4)連携研究者の斎藤修を英国ケンブリッジ大学に派遣して、現地の「人口史・社会構造研究グループ」と、近世の就業構造の比較史に関する共同研究を行った。それを通じて、イングランド及び大陸ヨーロッパにおける副業の実態に関して多くのデータを得た。その成果は、2011年8月の社会経済史学会近畿部会夏季シンポジウム"RethinkingLabourandIndustrializationinGlobalContext:OccupationalStructure,EconomicGeography,GenderandMigration"で発表した。
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南アジア研究
巻: 22号 ページ: 289-300
Chinese Studies in History
巻: Vol.42, No.3 ページ: 84-96
イギリス史研究入門(近藤和彦編)(山川出版社)
巻: 第12章 ページ: 272-293
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