研究課題
(1)「長期の18世紀」における海域アジア世界の経済発展、海外貿易の展開と後背地域との関連性を、アジアの主要港市(マドラス、ペナン、シンガポール、バタヴィア、広州、長崎)を事例に比較し、アジア現地商人とアジア独自の「商品連鎖」が、経済発展の主要な原動力であることを明らかにした。その成果は、2011年4月の米国アジア学会(AAS)年次大会で発表し、英文論集を編集中である。(2)1970年代以降の「東アジアの経済的再興」の歴史的起源とその原因を探究した。その結果、第二次大戦後の東アジア地域における国家主導の「開発主義」に象徴されるアジア人エリート層の主体性と主導、コロンボ・プランやインド援助コンソーシアムに代表される対外経済援助(後のODA)の供与、それを可能にした冷戦体制と地域主義の発展が、相互に影響し合って工業化が可能になったことを解明した。その成果は、2011年4月のヨーロッパ・グローバルヒストリー学会(ENIUGH)第三回大会で発表した。(3)2011年10月に、インド洋世界研究の権威カナダ・マギル大学のグウィン・キャンベル教授を招聘し、南アジア学会第24回全国大会で、「近世以降のインド洋世界における移民」を通じたグローバル化の進展を論じた。また、東京大学東洋文化研究所でユーラシア史研究グループと共催で、18-19世紀のユーラシア大陸「周辺」地域における通商とヒトの移動を論じ、近代西欧諸国の経済発展をユーラシア大陸規模で再考する新たな視点を探究した。成果は、『南アジア研究』への論文掲載が決まっている。(4)上記の(1)および(2)二つの研究班の成果は、本科研全体の4年間の集大成として、日本語の研究論文集『アジアから考えるグローバルヒストリー:長期の18世紀から東アジアの経済的再興へ』(仮題:ミネルヴァ書房、2012年12月刊行予定)として編集中である。
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待兼山論叢
巻: 45号 ページ: 1-26
東アジアの歴史摩擦と和解可能性-冷戦後の国際秩序と歴史認識をめぐる諸問題(菅英輝編)(凱風社)
巻: 第12章 ページ: 346-367
The Korean Journal of British History
巻: Vol.26 ページ: 69-91
Africa, Empire and Globalization…Essays in Honor of A.G.Hopkins(Toyin Falola and Emily Brownell (eds.))(North Carolina University Press)
巻: Chap.20 ページ: 417-431
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