研究分担者 |
町田 隆吉 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (50316923)
伊藤 敏雄 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00184672)
荻 美津夫 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80115013)
鶴田 一雄 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40180062)
小林 聡 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40234819)
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研究概要 |
長沙呉簡をはじめとする後漢~魏晋の簡牘を検討する西南班は,2009年12月の長沙における実見調査の結果,布の賦税納入簡では,税額が後入されていることを確認した.竹簡末尾の官員の自署のように,最後に書き入れたものと思われる.請求額自体は,端数のない匹の単位だったものと思われるが,実際の納入額は整数に満たない端数のケースも少なくなかったと考えられる.勘合の記号も最後に書き入れられたものと考えられる.賦税納入簡については,集計簡が複数種類確認されているが,それぞれの層位について,文字の書き出し位置からする検討方法が有効であることが判明した.また戸品出錢簡については,都郷と桑郷のものしか出土していないが,両者ではあきらかに形式に違いのあることが明らかになった.その他,名籍簡の内容分析から,夫婦間の年齢差の大きさが,夫の年齢が高くなるほど開いていく傾向を読み取ることができた. 西北地域の画像磚・鎮墓文を検討する西北班は,2009年8月の甘粛省各地における実見調査の結果,画像磚墓が,敦煌と酒泉・嘉俗関の中間である瓜州の墓葬でも複数箇所に築造されたことが明らかになった.報告によると,門楼に神獣を描いた敦煌型と判断され,魏晋時代,晋昌郡下にあり,冥安県や宜禾県が置かれたこの地は,西側に位置した敦煌の文化圏に包摂されていた可能性が高い.またその敦煌でも,祁家湾墓群でも画像磚墓が築造されていたことが今回新たに判明した.ここではまた,現在も調査が継続中で,新たに鎮墓文も出土しているが,いずれも敦煌型鎮墓文であった.
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