研究概要 |
(1)本研究課題は,中国の西南地域である湖南省長沙市出土の各種簡牘群,西北地域である甘粛省・新疆ウイグル自治区出土の磚画・壁画と鎮墓瓶など出土資料群のデータベース化と,それを利用した中国古代史わけても漢魏交替期における基層社会の構造と展開に関して多面的な分析を行うことを目的としている. (2)漢魏交替期は中国史上の画期の一つとして早くから注目を浴びてきたが,その反面,当該時期の基層社会の具体的な状況を明らかにできるような一次史料には恵まれていなかった.したがって『三国志』以下の編纂史料から読み取れる政治的な状況や諸制度をもって,当該時期を理解するという研究状況が長らく続いていた.本研究課題で取り上げる出土資料群は,前世紀末にようやく紹介されるようになったものがほとんどである. (3)出土資料に対する関心は近年とみに高まりを見せているが,本研究課題では,これらを個別に取り出して分析するのではなく,「出土資料群」としてその全貌を対象とし,資料的な価値を見定めた上で,個別の分析を行う.またそのために,歴史学にとどまらず,考古学・書道史・簡牘学・図像学・美術史など関連分野の研究者を分担者・連携研究者・協力者として組織している.
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