研究課題/領域番号 |
20242026
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
菅原 和孝 京都大学, 人間・環境学研究科 (80133685)
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研究分担者 |
松田 素二 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50173852)
水谷 雅彦 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50200001)
木村 大治 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (40242573)
舟橋 美保 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (40432059)
内堀 基光 放送大学, 教養学部, 教授 (30126726)
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キーワード | 数学的試験 / 身体化された言語 / 反表象主義 / 環境ネットワーク / 精神医療 / 知覚経験 / 心の所在 / 身体隠喩 |
研究概要 |
本研究は、研究代表者・分担者・連携研究者の計13名が、4本の通路から心の系譜と身体の系譜を連関させるフィールドワークと理論的探究を実行し、その成果を束ね「身体化された心」の文化人類学的なパラダイム構築を行ない、心身を統合した人間理解を達成する。連携研究者は、藤田隆則(京都市立芸術大・准教授)、定延利之(神戸大・教授)、高木光太郎(青山学院大・教授)、鈴木貴之(南山大学・准教授)の計4名である。 (1)研究会活動:(a)6回((1)-(6))の研究会を開催し、成果出版への寄稿論文の概要を中心にして、計12名が発表し討議を深めた。(1)定延「身体化された言語・文法の姿を探る」/近藤和敬(研究協力者、大阪大)「数学的経験における問いと身体」(2)鈴木「身体化された心と反表象主義」/木村「数学をめぐる会話における指示と操作」(3)大村「交合する身体:心的表象なき記憶とことばのメカニズム」/河合「(4)石井「「不浄」から「野生の聖」へ:南インドのブータ祭祀におけるヒエラルキー、憑依、環境ネットワーク」/藤田「言葉と身体行動との組み合わせ:西浦田楽の伝承現場から」(5)長澤壮平(研究協力者、中京大学)「山と踊る身体=心:身体化するイメージと踊り」/松嶋健(研究協力者、京都大学)「精神医療の生態学的転回:テリトリーのなかの/としての心」。(6)内堀「「心」は身体的にしか語れない:心、命、魂、そして精神は体のどこにあるのか」/菅原「身体化の人類学へ向けて:生命科学とのねじれた関係」。また「コミュニケーションの自然誌」との合同研究会で、菅原は「もと狩猟採集民グイにおける身体隠喩の一覧と日常談話でのその用法」を発表した。(b)ウェブサイトで研究成果の公表を行ない、逐次更新中である。(c)研究代表者と研究分担者は、文化人類学・心の哲学・認知科学・宗教学の文献資料を収集した。 (2)個人別研究活動:(a)菅原はボツワナのグイ・サンの談話から抽出した身ぶりを分析した。(b)松田はケニアで見られる集合暴力の経験を考察した。(c)水谷は会話の倫理学に関わる理論的進展をみた。(d)木村は数学者の会話分析を進めた。(e)内堀は心の身体的所在をめぐる比較民族学の深化を図った。(f)青木は声の現象学の視点から身体的共感を解明した。(g)河合は北ケニア牧畜民チャムスにおいて知覚経験を分析した。(h)大村はカナダ・イヌイトで環境との切り結びから生成する記憶の様態を解明した。(i)石井はインドのマイソールで宗教的実践を通した社会的現実の生成を解明した。 (3)成果出版に向けて:研究代表者・分担者・連携研究者全員に加え研究協力者3名を加え、計16名の寄稿者によって『身体化の人類学』(世界思想社)の執筆と編集作業を進め、京都大学教育研究振興財団の研究成果出版助成金を得て、平成24年に刊行する予定である。
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