「身体化された心」(embodied mind)を軸に、フィールドワークと理論的探究とを統合することによって、人間社会の構造と人びとの実践の様態を実証的に解明することを目的にする。フィールドワークでは、「心/身体」「文化/自然」といった二元論を克服する観察・記述・分析を徹底し、理論探究では、文化人類学を支配してきた表象主義を乗り超える新しいパラダイムを樹立する。「身体化された心」の根幹は、「人間の世界認識は身体の直接経験に基づく」という命題である。「身体化」という位相に着目することによって、認知と言語活動を新しい視角から照射する。さらに、民族誌的な文脈に埋めこまれた行為と実践を分析することによって、「身体化された心」を文化人類学にとって真に有効なパラダイムへ鍛えあげる。
|