研究課題/領域番号 |
20243001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木庭 顕 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (20009856)
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研究分担者 |
松原 健太郎 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (20242068)
両角 吉晃 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (50239711)
原田 央 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 准教授 (60302642)
桑原 朝子 北海道大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (10292814)
金子 敬明 千葉大学, 大学院・専門法務研究科, 准教授 (80292811)
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キーワード | 信用 / 金融 / 比較史 / 民事法 |
研究概要 |
年度初めに予定されたスキアヴォーネ教授招聘が重要な段階を画するはずであったところ、,震災によりこれが中止になった。また、集まりにくい状況も続き、特に東北大学のチームにおいて、しかし東大などでも、施設や図書の面で困難な中、各自自分の分担部分の研究に従事する期間となった。わずかに夏に札幌に集まり、中国清朝期の土地の上の信用問題、現代日本の相続にかかわる信用問題につき集中的な討議をしえたにとどまる。 個別的には、研究代表者が、10月刊行の論文集の中の書き下ろしの二編で全面的に近代日本の信用の問題を扱った。ローマから見た場合、そして文学と法実務を素材として、日本の信用状況の構造的問題がどのように分析されうるか、という論考である。札幌のチームは、アンシャンレジーム期フランスの土地所有および商事法に関して重要な研究の進展を見た。また、松原教授は、上に述べた報告のもととなる英文論考を提出、これが少なくとも校正段階にある。原田准教授は、日本国際私法の基となった明治期の立法史に関し、これを当時の国際的な脈絡に位置付ける論考をものにし、仏文の論文として校正段階にある。 このように、それぞれの研究には重要な進展が有り、そこには昨年度までのわれわれの討議が反映されているが、プロジェクト固有の成果をまとめるという方向に関する限り、若干の留保が必要な状況である。準拠枠組みの共有はこれまでの議論、とりわけローマに関する議論、によってできており、他方現代的課題についても、昨年度の岩原教授の貢献等々により確認することができている。ここから各時代各地域の個別研究に出て、さらに戻る、というフィードバックが不十分である、ということになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スキアヴォーネ教授招聘研究会が流れたことにより、大きな歴史的視野において全体をまとめる方向の作業に支障が出た。少々ばらばらに研究が進行しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度を迎え、全体をまとめることが喫緊の課題となる。このために、従来の信用理論、つまり経済学の一分野たる金融論の枠組みの再検討を既に始めている。これに法的歴史的な観点から疑問を呈することを通じ、各時代各地域から出されてきている成果をプロットしていくことになる。このために、少し機関が短くなったが、最後の一年にどれだけ集まれるかが鍵となる。
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