研究課題/領域番号 |
20243010
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松浦 正孝 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (20222292)
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研究分担者 |
山室 信一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10114703)
中島 岳志 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 准教授 (40447040)
宮城 大蔵 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (50350294)
大賀 哲 九州大学, 大学院・法学研究院, 准教授 (90445718)
浜 由樹子 津田塾大学, 国際関係研究所, 研究員 (10398729)
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キーワード | アジア主義 / 地域主義 / 機能主義と歴史主義 / 域外要因 / ネットワーク / アジア観 / 植民地主義 / 大東亜共栄圏 |
研究概要 |
初年度である20年度は、科研費内定通知直後から、8月のシンポジウムの準備に向け、アジア主義へのアプローチの仕方について検討した。8月のシンポジウムでは、部会1「アジア主義の比較」を行い、高橋、姜、浜から、東南アジアの代表例としてのタイ、東アジアの韓国・朝鮮、ロシアのユーラシア主義について、(1)その比較的特質と構造、(2)周辺諸国との関係、(3)歴史と現代的意味を中心に報告した。部会2では、「日本のアジア主義再考」として、松浦、中島から、その中世以前からの歴史的連続性と、明治以降戦後までの連続性を中心に報告し、部会3では、孫歌、ウルフから、冷戦期の中国、ロシアのアジア観について報告した。その結果、最後のラウンド・テーブルを含めて、アジア主義についてのアプローチの仕方が地域・研究者により多様であること、各地域により、アジアやアジア主義の意味がそれぞれ特殊であることが、明らかになった。単なる地域主義か否か、機能主義的側面と歴史的・情緒的側面、パワー・ポリティクスと理想主義、アジア観とネットワーク、日本のアジア主義の特殊性、植民地主義との関係、時期区分など、重要な論点が続出し、それをどう整理していくのか、大論争になった。これ自体、大きな成果であり、各自の立場から、もう少し担当テーマに即して検討していくこととした。その後も、10月の国際政治学会部会、12月の東北亜歴史財団主催「'東アジア知識交流と歴史記憶'国際学術会議」などの内外の学会で、多くのメンバーが外部との交流を行い、問題意識を深めた。今後、整然とアジア主義を定義し整理するのが良いのか、結論を出さずに、当面、アジア主義の多様性の諸相をもう少し集め、その上で整理していく方が有益と判断し、来年度の国際シンポを含め、各自の事例研究と理論的検討とを平行させるべきという結論を得た。初年度の成果としては、大きなものだったと考えられる。
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