研究課題
共同研究の初年度として、研究成果を発表する集会を東京大学を会場として準備した。大変残念なことに、オレ・ウィーバー・コペンハーゲン大学教授の都合によって開催を延期せざるを得なかった。ウィーバー教授は安全保障化概念を提唱したこの分野の世界的な研究者であり、氏の参加は欠かせないためである。そのため、本年度の作業は研究の準備段階に留まることになった。(1)「新しい安全保障」に関する研究について、(1)安全保障概念の再検討、殊にsecuritization(安全保障化)の概念措定と外延の確定、(2)非伝統的安全保障分野の意味、殊に非伝統的脅威の多様な類型の措定を行った。この目的から、日本人参加者のみによるワークショップを東京大学を会場として開催した。その過程において、安全保障化概念はその使用される文脈によって全く異なる意味を持つ危険があることが確認されるとともに、伝統的安全保障分野との差異は自明ではないことも明らかとなった。(2)2008年12月12日から14目まで、プリンストン大学にて開催された安全保障再検討国際会議に参加し、現在の研究成果について報告を行った。これは毎年開催される国際会議であるが、日本の研究グループが研究成果を発信する国際的舞台として大きな意味を持つものである。