研究課題/領域番号 |
20243015
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
深貝 保則 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (00165242)
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研究分担者 |
中山 千香子 東京外国語大学, 大学院・地域文化研究科, 准教授 (10274680)
栗田 啓子 東京女子大学, 文理学部, 教授 (80170083)
高 哲男 九州産業大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90106790)
西沢 保 一橋大学, 経済研究所, 教授 (10164550)
矢後 和彦 首都大学東京, 大学院・社会科学研究科, 教授 (30242134)
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キーワード | 有機的ヴィジョン / 新自由主義 / 社会進化論 / 社会統合 / 国際比較 |
研究概要 |
19世紀末から20世紀前半にかけて欧米諸国において、社会進化論、集産主義、産業組織などの新たな思想的、政治的、経済的動向が展開し、続いて、リベラリズムの変容と全体主義との間の緊張がひき起こされていった。有機的ヴィジョンを軸にして展開する本研究計画の初年度として、概念的な変化の多様性と、各国におけるスキームの国民的・政治的特質を照らし出すべく、外国から研究者を招いての3回の研究集会をはじめとした検討の作業を進めた。J.S.ミルに代表される19世紀の古典的自由主義からホブハウスら世紀転換期の新自由主義への進展は、有機的ヴィジョンやいわゆるイギリス理想主義との交錯という側面と並んで、ブリテン帝国の国際的スキームの変容という観点を盛り込んで意味づけることができる。(D.ワインシュタイン、P.ケイン両教授らを含む複数回のセミナーにて検討を行なった) 20世紀にさしかかって以降の各国における社会統合の道筋は、たとえばアメリカにおける金ピカ趣味から禁酒法への揺らぎのなかに窺えるような文化的・共和主義的統合の模索のように、国民的アイデンティティを確かめ直す作業でもあった。この種の事例のひとつとして、国家統一から間もないイタリア諸都市の文化的意識統合においてオペラが果たした機能に着目して検討することができる。(この点、D.シープレイ、A.ケルナー両博士らとのセミナーにおいて検討した) これらの政治的、文化的レヴェルまで含めた検討は、経済統合と社会意識との連関のなかで有機的ヴィジョンの意義を位置づけるための豊かな土壌を掘り起こす基礎作業を担っている。なお、研究組織メンバーは、国内外を含む学会において関連テーマでの報告を随時行なった。
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