研究分担者 |
川渕 孝一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合科研究科, 教授 (10308934)
加藤 淳子 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00251314)
倉田 博史 東京大学, 大学院・情報学環, 准教授 (50284237)
原 尚幸 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (40312988)
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研究概要 |
平成21度は前年の研究果に基づき、次のような研究を行った。一に、新たに得られたデータを加え、前年作したデータベースの拡張を行った。併せて、データベースを使いやすさや作業効率の向上のため、データベースを管理するプログラムの改良等の作業を行った。第二に、改良されたデータベースを使って、我が国における診療報酬支払制度の大改革であるDPC(Diagnosis Procedure Combination,診断群分類)による包括支払制度導入の影響の評価・分析を行った。分析においては,病院間の在院日数の計量モデルを新たに提案した。このモデルは,Coxの比例ハザードモデル(proportional hazard model)などの既存のモデルを代替するもので,生存時間解析の問題一般に幅広く利用可能で既存のパッケージ・プログラムによって簡単に推定できるものである。提案されたモデルを用いて、白内障における在院日数の分析を行った。白内障手術は,標準化されており,緊急性も低く,日帰り手術も可能であるなど術後合併症・感染症等の危険性も低い。このため,データの均質性が他の傷病に比較して高く,DPCによる包括支払支払制度導入が病院に与えた影響の評価に適していると考えられる。分析の結果、DPCによる包括支払制度は在院日数を短縮したが、その影響は病院ごとに大きく異なっていることが認められ、さらなる医療資源の有効活用にはその傷病の特性を考慮した制度設計の重要性が示唆された。第三に、大規模個票データ分析のための手法・モデルの理論的な分析を行った。第四に、開発された手法・モデルを使って関連する分野に応用し、実証研究を行った。研究成果は合計17編の査読付論文(掲載決定済で印刷中のものを含む)として発表・発表予定となっている。また、査読期間の関係で掲載決定には至っていないが、数本の論文を投稿中である。この他、本年度は2編の著書を刊行している。
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