研究課題/領域番号 |
20243019
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
辻 正次 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (90029918)
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研究分担者 |
石井 博昭 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (90107136)
山内 直人 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (90243146)
山田 雅俊 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (90125782)
朽木 昭文 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10450446)
宮原 勝一 青山学院大学, 経済学部, 教授 (40301585)
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キーワード | CVM(仮想市場法) / 医療費削減 / DEA / 年金 / 産業集積 / イノベーション / AHP(階層分析法) / 在宅ケア |
研究概要 |
格差是正のための研究は,各ユニットで実施され、いくつかの成果があった。 地域格差を是正すると期待されているブロードバンド、特にFTTH(光ファイバー)の都道府県別契約者数の格差要因について研究を行った。ブロードバンドは、高速高容量のインターネット接続を可能にし、医療、文化、福祉といった面での格差を是正するものと期待されている。まず、契約者数の実態から見ると、近畿地方を中心に、西日本が東日本より普及が進んでいる。この要因について、都道府県での所得、FTTH料金、FTTH事業者数、FTTHと代替関係にあるCATVの契約者数、地域での大学の数、携帯電話契約数等の変数がどれだけ影響を与えているか分析を行った。その結果、統計的に有意であったのは、都道府県所得、FTTH料金、競争事業者数等であった。この結果が地域格差と関連することは、所得の格差がFTTHの契約者数の格差を生んでいることである。つまり、所得が高い都道府県はFTTHの普及が進むが、これによりその地域はFTTHによってより経済力が高まることになる。情報化は地域格差が一層拡大することになる。地域の情報化は、市場原理による推進のみではなく、政策による推進策のバランスが必要である。 次に,医療面での地域格差の研究を行った。医療の地域格差を是正する期待されている遠隔医療であるが、その中の在宅健康管理システムについて、2000年の時点で運用されていた100余りの自治体について、現状のアンケート調査を行った。現在も実施している自治体は12カ所と、1割に激減していた。休止の理由は、(1) 市町村合併、(2) 運用経費が捻出できない、(3) 人手が足りない、(4)機器の耐用年数が過ぎたである。激減した理由は、ITは導入すれば自動的に機能すると理解していたことである。ITが機能するには、それが機能する体制を作ってから導入すべきであることが、この教訓である。 以上、地域格差の是正には、新しい発想の施策が必要であることが分かった。
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