研究課題/領域番号 |
20243019
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
辻 正次 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (90029918)
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研究分担者 |
石井 博昭 関西学院大学, 理工学部, 教授 (90107136)
山内 直人 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (90243146)
朽木 昭文 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10450446)
文能 照之 近畿大学, 経営学部, 教授 (30388491)
中谷 常二 近畿大学, 経営学部, 准教授 (70398501)
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キーワード | Propensity Score Matching(PSM) Method / System GMM / Sample selection bias / 内生性 / Social Capital / 地域医療 / 地域HER(Electric Health Record) / 診療報酬 / Innovation capability / open innovation |
研究概要 |
本研究は地域での住民や企業へのアンケート調査を通じて、地域格差の要因と是正策を検討するものである。分析に用いるデータの大部分はアンケート調査により得られたものである。アンケートに基づくデータには、常にバイアスと内生性(endogeneity)の問題がつきまとう。前者では抽出されたサンプル間でバイスがあれば、得られた推定結果は信頼できないことになる。後者では説明変数と被説明変数が単に見せかけの相関(seemingly correlated)であるのか、正しい因果関係を示しているのか判定する必要がある。今年度では、これらの二つの問題を除去する手法として、Propensity Score Matcking (PSM) Methodをsystem GMMという二つの手法を習得し、それを用いて新たな研究を行い、新しい分析結果を得た。PSMの研究では、遠隔医療の経済効果においてこれを適用した。特に、PSMでは分析結果がマッチングの手法に依存し、頑健性(robustness)が満たされないことが多いという欠点がある。そのため本研究では、caliper matching, single nearest-neighbor matching, Epanechnikov kernel matching, biweight kernel matchingという4つの異なるマッチング手法を併用し推定を行い、本研究で提唱するPSMが頑健性を満たすことを証明し、今後のアンケートデータの分析に援用することを可能とした。また、内生性を解決するsystem GMMを用いて、地域格差を解消すると期待されるICT技術、特にブローバンドや携帯電話の普及、さらには地域企業によるイノベーションの分析を行った。これらが地域格差の解消に役立つのか、あるいは地域経済の成長によりこれらの普及が進展したのか、判定する必要があり、その因果関係を明確するのがsystem GMMである。本年度ではこのような理論的な研究に加えて、実際に地域格差を是正する政策として、税制や市場経済以外の要素であるソーシャル・キャピタル、医療制度の改正といった観点から検討を加えた。市場メカニズムのみでは地域格差は解消できず、公共政策からの補完的なシステムも必要であり、本研究ではその双方の最適な組合せを(best mix)を探る第一歩となるものである。
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