研究課題
医療経営の充実が社会的問題となりつつある現在、医療分野への経営学的知見の導入が要求されるようになってきている。米国においては、すでに1999年よりMBA(マルコム・ボルドリッジ・アワード)の対象にヘルスケア部門が含まれることになっており、一般企業と変わらない形での医療経営の実践が評価されている。こうした状況に呼応するように、我が国においても、医療経営の実践的導入が進められ、徐々にではあるがその成果を上げつつある。一方で、そうした実践的活動を考察してきた研究成果によれば、あたかも経営万能論の如く、医療経営への最新の経営ツールを導入すればすべての問題が解決するというわけではない。むしろその導入にあたっては、医療分野の特性を理解する必要があるとともに、経営学的知見そのものの精査が必要になる。このことは医療経営という独自の研究領域が成立することを示唆している。最終年度となった本年は、これまでの研究成果を取りまとめ、継続的な研究に向けて議論を深めた。医療分野の固有性を確認し、研究上の方法論を固めること、そのうえで病院組織のマネジメントについて、患者との関係構築も含めて検討していくことが再確認された。特に病院組織においては、その公共性とも相まって利潤獲得との相反が生じるという問題がありうる。このさいには、組織としてのガバナンスを再確認し、自らが何をなすべきか、それをいかに実現すべきかという点についての組織的な備えが必要になると考えられた。
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PRESIDENT(2011年2月14日号)
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