本研究は、社会のしくみや制度を順応的に変えていきながら自然環境管理を行っていくということ(アダプティブ・ガバナンス)と、その中における市民調査(市民・住民自身による調査)の役割を、事例を積み重ねることによって分析し、そこからモデル構築および政策提言をしていくことを目的とする。すなわち、以下の2 つの研究を有機的に組み合わせながら遂行する。(1)自然環境にかかわる人間の側のしくみの変化に注目する。人間の側のしくみを柔軟に変化させながら、持続的に自然環境と関わってきているような事例をさまざまに集め、議論する。並行して、自然環境にかぎらず、歴史的環境・まちづくり・都市計画などについて、同様にしくみを柔軟に変化させながら維持・管理・統治している事例を集め、議論する。さらに、(2)自然環境に限らず、市民調査の事例をいろいろ集め、市民調査の可能性や課題について議論する。あるいは、市民調査のマニュアル化が図れないか検討する。同時に、自然やまちをめぐる人文・社会科学的な調査がもつ実践的な意味について、市民調査に限らずさまざまな事例を集めながら考える。
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