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2009 年度 実績報告書

都市環境における生活公共性に関する比較社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20243030
研究機関名古屋大学

研究代表者

田中 重好  名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50155131)

研究分担者 友枝 敏雄  大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (30126130)
熊田 俊郎  駿河台大学, 法学部, 教授 (10195521)
キーワード公共性 / 生活 / 環境 / 公私関係 / 都市 / 比較文化
研究概要

研究会を開催し、本プロジェクト参加者(研究分担者と協力者)からの研究報告をし、それについての討論をおこなった。なかでも、旧代表者の藤田弘夫は、社会学理論の「行き詰まり」状況の中で公共性という概念は理論的な突破口を切り開く可能性をもつことを指摘し、さらに、友枝敏雄は規範理論との関連での公共性の可能性を論じた。このように、理論レベルにおいて、公共性に関する考察を進めた。
具体的なテーマに関しても、藤田は日本と中国、欧米での公共性に関する文化比較をおこない、各文化のなかでの「生活公共性」の在り方を論じた。同様に、田中重好も、三つの文化間の公共性の考え方の違いを明らかにした。田中は、さらに、近年の「新しい公共性』論の隆盛に関連して、議論は活発に行われているが理論的には混乱していること、この混乱の最大の原因は公-共-私三分論と公私二分論をめぐるものであるが、概念的な整理をすると、三分論には「公」と「官」あるいは行政と同義とするという根本的な誤謬があることを指摘した。
さらに、イギリスやアメリカを事例として、中西典子は医療制度改革の過程において公共性がどのように変遷してきたのかを論じ、西山志保はイギリスやアメリカの非政府セクターの動向に関連させて、公共性の変動を論じた。このように、参加者からは、さまざまたデーマに関連して公共性が問題になっていることが報告された。
以上のように、参加者のそれぞれから、第一に、比較文化論的な視角から生活公共性の在り方を論じ、第二に具体的なテーマに関連して、公共性がどう捉えられるか、公共性がいかなる社会的ポジションをもっているか、どう定義できるかに関する議論がおこなわれ、それを通して、公共性を論ずるためめ共通のプラットホームを作ることにつとめてきた。その成果は、具体的には「研究発表」にあるとおりであるが、さらに本年度の研究成果の一部は、近刊としては『東アジアにおける公共性の変容』(慶応大学出版会)にも収められている。
平成21年度の繰越の調査として、中国の中山大学において、大都市における国際化と都市環境の変容に関する討論会と調査を、中山大学王建新教授らと一緒に実施した。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2011 2010 2009

すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 6件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 街づくりと景観デザインの日英比較2011

    • 著者名/発表者名
      石井秀夫
    • 雑誌名

      帝京社会学

      巻: 23 ページ: 47-119

  • [雑誌論文] 重層的なガバナンスを構想するための覚書2010

    • 著者名/発表者名
      田中重好
    • 雑誌名

      名古屋大学社会学論集

      巻: 第30号 ページ: 21-38

  • [雑誌論文] 場所と空間の社会学:都市空間の保存運動は何を意味するのか2010

    • 著者名/発表者名
      堀川三郎
    • 雑誌名

      社会学評論(日本社会学会)

      巻: 60巻4号 ページ: 517-534

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 空間表象から見た公共性の比較社会学2009

    • 著者名/発表者名
      藤田弘夫
    • 雑誌名

      現代社会学理論研究

      巻: 3号 ページ: 16-27

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 日本都市社会学の発展と変貌2009

    • 著者名/発表者名
      藤田弘夫
    • 雑誌名

      法学研究(慶応大学法学研究会)

      巻: 第82巻第12号 ページ: 159-180

  • [雑誌論文] 河川の比較研究に向けて2009

    • 著者名/発表者名
      田中重好
    • 雑誌名

      法学研究(慶応大学法学研究会)

      巻: 第82巻第12号 ページ: 289-326

  • [雑誌論文] ヘイ・オン・ワイとブックタウン運動2009

    • 著者名/発表者名
      熊田俊郎
    • 雑誌名

      三田社会学(三田社会学会)

      巻: 14号 ページ: 3-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 集落の再生をめぐる論点と課題2009

    • 著者名/発表者名
      吉野秀岐
    • 雑誌名

      村落社会研究(村落社会学会)

      巻: 45号 ページ: 11-44

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 農山村地域は縮小社会を克服できるか2009

    • 著者名/発表者名
      吉野秀岐
    • 雑誌名

      地域社会学会年報(地域社会学会)

      巻: 第21集 ページ: 15-34

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 岡垣町プロジェクトの課題と展望2009

    • 著者名/発表者名
      高岡文章
    • 雑誌名

      福岡女学院大学紀要人文学部編

      巻: 20号 ページ: 67-82

  • [雑誌論文] なぜ、ヘイ・オン・ワイで「古書」を買うのか2009

    • 著者名/発表者名
      皆吉淳平
    • 雑誌名

      三田社会学(三田社会学会)

      巻: 14号 ページ: 24-33

    • 査読あり
  • [図書] 都市計画の思想と展開2009

    • 著者名/発表者名
      藤田弘夫・橋本和孝・吉原直樹
    • 総ページ数
      210
    • 出版者
      東信堂
  • [図書] 実践人類学シリーズ9 自然災害と復興支援2009

    • 著者名/発表者名
      田中重好, ほか
    • 総ページ数
      414
    • 出版者
      明石書店
  • [図書] 現代の高校生は何を考えているか2009

    • 著者名/発表者名
      友枝敏雄編
    • 総ページ数
      232
    • 出版者
      世界思想社
  • [図書] よくわかる環境社会学2009

    • 著者名/発表者名
      堀川三郎, ほか
    • 総ページ数
      220
    • 出版者
      ミネルヴァ書房

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公開日: 2012-07-19  

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