研究分担者 |
村瀬 嘉代子 北翔大学, 人間福祉学研究科, 客員教授 (70174290)
松浦 直己 東京福祉大学, 大学院・教育学部, 教授 (20452518)
松嶋 秀明 滋賀県立大学, 人間科学部, 准教授 (00363961)
久蔵 孝幸 北海道大学, 大学院・教育学研究院, 特任助手 (00451443)
内田 雅志 北海道大学, 大学院・教育学研究院, 特任助手 (90389643)
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研究概要 |
本研究は、児童自立支援施設と退所後に復帰する地域を対象とし、(1)施設に暮らす子どものアセスメント(2)施設機能の検証(3)再非行防止のための心理教育プログラムの開発と効果測定(4)地域社会での自立を保障する地域環境作りの4段階の研究開発することで、発達障害が疑われる子どもたちへの包括的な再犯防止対策を構築することを到達点とし、A.児童自立支援施設子ども調査, B. 児童自立支援施設職員調査, C. 心理教育プログラム検討, D. 地域環境調査・整備の4つの研究から構成される。20年度は, このうちA, Bにかかる, 施設職員へのインタビュー調査を行った。実施協力施設は, 北海道立大沼学園, 北海道立向陽学園, 北海道家庭学校, 国立武蔵野学院, 国立きぬ川学院, 大阪府立修徳学院, 大阪市立阿武山学園の7つの児童自立支援施設と, ふくろうの家(函館市), 東樹園(京都市), そらまめ(大阪市), の3つの自立援助ホームである。各施設にそれぞれ複数回訪問し, 実際に子どもに関わる職員から援助のあり方についての基本的考え方, 施設の歴史の中で職員と利用者である子どもは何を伝承してきているのか, 今後, 施設内での対応や施設活用終了後の生活への支援はどうあるべきかなどを, 子どもや家族の最近の変貌も含め, それぞれの職員の子どもへの育ちの視点を聞き取ることができた。そこには, 職員個々に培ってきた子ども観や人生哲学とも呼べる理念が存在していた。また施設として, 業務量の増加や労働条件の改善点, 組織観や職員の家族観, 教育観の変貌など多岐にわたる問題点も確認できた。さらに, 自立援助ホームの実践を聞き取る中では, 児童自立支援施設を出院したあと地域社会で生きることの困難さは予測できたが, 改めてそばにいる大人が理解と励ましを与え続けることで, たくましく社会で生活する者, あるいは家庭をもとうと努力する者が生まれ, 地域社会での自立を保障する地域環境作りの重要性が示唆された。
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