研究分担者 |
村瀬 嘉代子 北翔大学, 人間福祉学研究科, 客員教授 (70174290)
橋本 和明 花園大学, 社会福祉学部, 教授 (80434687)
松浦 直己 東京福祉大学, 大学院・教育学部, 教授 (20452518)
松嶋 秀明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (00363961)
久蔵 孝幸 北海道大学, 大学院・教育学研究院, 特任助手 (00451443)
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研究概要 |
本研究は,児童自立支援施設と退所後に復帰する地域を対象とし,(1)施設に暮らす子どものアセスメント(2)施設機能の検証(3)再非行防止のための心理教育プログラムの開発と効果測定(4)地域社会での自立を保障する地域環境作りの4段階の研究開発を行い,発達障害が疑われる子どもたちへの包括的な再犯防止対策を構築することを到達点とするものである。21年度は,20年度に実施した児童自立支援施設職員への聞き取り調査を継続し,さらに調査結果を元に質問紙を作成し,全国の施設の施設庁・職員を対象に無記名でのアンケート調査を実施した。2009年6月に送付,職員263名,施設長32名,計295名から回答を得た。 アンケート内容は,(1)施設の概要に関する項目(施設形態,施設の職員数,職員構成等),(2)職員に関する項目(性別,年齢,勤務年数,子どもの状況に関しての悩みや施設全体の課題と考えていること),(3)日頃の実践から感じていることの自由記述の3領域で構成した。回答を意味内容によりカテゴリーを割り当て,そのカテゴリーの数を集計し,設問ごとの回答内容とその傾向を検討した。結果の一部を抜粋すると,例えば「施設運営で大切にしていること」という問いに,施設長は「職員連携」(21.3%)と回答し,一方施設職員は同じ問いに対して,「チームワーク」(20.6%)と最も重要視している。しかし職員の回答には,施設長では記述されない,よい大人として毅然と真剣に対峙することも多く認められた。即時即答が求められる「真剣な対峙」には,職員間の齟齬が生じやすい,ゆえにチームとしての纏まりが求められると思われる。施設長は連携というシステム名を重視し,職員はチームワークといった意識を重視した使い分けは非常に興味深いといえる。こうした検討を全ての質問項目で行い,21年度中にアンケートの分析を速報版として作成し,製本およびデータ化したものを全国の児童自立支援施設へ送付した。
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