研究課題/領域番号 |
20243037
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
志水 宏吉 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40196514)
|
研究分担者 |
米川 英樹 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50116133)
大前 敦巳 鳴門教育大学, 学校教育学部, 准教授 (50262481)
山田 哲也 一橋大学, 社会学研究科, 准教授 (10375214)
高田 一宏 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (80273564)
新保 真紀子 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 准教授 (30411937)
|
キーワード | 学力政策 / 国際比較 / 国内比較 / 公正 / 卓越性 |
研究概要 |
国際的には2000年度からのPISA調査の実施、国内的には2007年度からの全国学力テストの実施に代表されるように、現代は「学力をめぐるグローバル競争」の時代に突入している。そうした、社会情勢を背景に、国内外の学力政策の今日的な特徴と、それらの成果および課題を比較教育社会学の視点から明らかにしようというのが、本研究の目的である。この目標を達成するために、国内班・国際班という2つの研究グループをつくり、3年間にわたる現地調査を中心とした研究活動を展開してきた。 まず、国内的には、全国学力テストの導入後、著しく教育・学力政策が変化している県と、そうではない県が存在することが明らかになった。前者にはテスト結果が「上位」だった県と「下位」だった県が多く、後者には「中位」県が多い。容易に想像されることだが、とりわけ「下位」県における政策変化はドラステックであり、地方教育行政・学校現場に大きな影響を及ぼしつつある。また「上位」県では、学力面での好成績をリソースとして、さらなる卓越性を構築しようというアプローチが顕著に見られた。 次に、私たちのグループでは8つの国を事例として選択したが、国際的には、学力政策のバリエーションがきわめて大きいことが判明した。どの国においても、「平均点をあげる」という意味での「卓越性」層と、「集団間の格差を縮める」という意味での「公正」が、ともに追求されてはいたが、その追求のための手法に大きな違いが認められた。具体的には、「市場原理」や「成果主義」といった新自由主義的な原理をはずみ車として採用しているイギリスやアメリカといった国が存在する一方で、社会民主主義の伝統を生かし、「現場との合意」や「教師の専門性」を重視しながら改革を進めようとしているフィンランドやドイツといった国もあった。
|