本研究では、教育財政および教育費負担という教育の経済問題を、経済学のみならず、社会学的に分析し、日本の教育システムを国際的な視野から特徴づけることを目的としている。そのために、日本の通時的な変化と地域間比較に加えて、国際比較を数量的に分析することを主眼とし、主として次の四つに焦点をあてる。 (1)教育段階別の教育財政支出の変化を戦前まで遡った時系列分析を行い、政府の役割の変化を位置づける。時代の効果と地域の効果を識別し、教育の条件整備が教育機会の均等に果たしてきた役割、および学力格差との関係を明らかにする。 (2)政府支出のみならず、教育費の家計負担と家族類型との関係を重ねて分析するために、「教育と社会保障に関する意識調査」を実施する。 (3)「後期大衆化」段階にある日本の進路選択の特徴を「日本的ペアレントクラシー」という視点から解明する。 (4)日本の現状分析を踏まえ、教育財政と教育システムの国際比較分析と類型化を行う。教育だけでなく、社会保障のシステムとの関係についての分析も行う。
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