研究課題
本研究の目的は、算数・数学科における「研究授業」の役割と機能を「集団思考」の質に焦点を当てて明らかにすることである。わが国の「授業研究」およびその中で中核となる「研究授業」は、近年、急速に海外に普及してきているが、その質が問題となってきている。実際、算数・数学科においては、確かにわが国で望ましいとされる問題解決型の授業展開となっているが、「集団思考」の場面が形骸化し、思考が深まっていない実態が見いだせる。そこで、本研究では、わが国の「授業研究」「研究授業」に関心の高い米国と、わが国の算数・数学科の授業の特長を「集団思考」とみているオーストラリアの研究者を海外共同研究者とし、異文化の光の元で「研究授業」における「集団思考」の質にメスを入れていくことで、「研究授業」の役割と機能を「集団思考」の質に焦点を当てて明らかにする。21年度は、ギリシャで行われた第33回PME国際会議において「集団思考」に特化したリサーチフォーラムを本研究の海外協力者Susie Groves氏が中心になり、企画申請し、許可されて2日間に渡り研究討議を行った。具体的には日米英豪の研究者がCritical Perspectives on Communities of Mathematical Inquiryというテーマで発表し討議した。研究の成果は「集団思考」が生起するメカニズムとその継続における「思考内容」の深まりをとらえる枠組みの概略が最終的に提案されたことである。発表された研究論文はProceedingsに収録された。また、国内においては「集団思考」の様相をとらえる枠組みの構築を引き続き試み、その成果を日本数学教育学会論文発表会に発表した。
すべて 2009
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The Proceedings of the 33th Conference of the International Group for the Psychology of Mathematics Education Thessaloniki Greece Vol.1
ページ: 165-170