研究課題
本研究の目的は、算数・数学科における「研究授業」の役割と機能を「集団思考」の質に焦点を当てて明らかにすることである。わが国の「授業研究」およびその中で中核となる「研究授業」は、近年、急速に海外に普及してきているが、その質が問題となってきている。実際、算数・数学科においては、確かにわが国で望ましいとされる問題解決型の授業展開となっているが、「集団思考」の場面が形骸化し、思考が深まっていない実態が見いだせる。そこで、本研究では、わが国の「授業研究」「研究授業」に関心の高い米国と、わが国の算数・数学科の授業の特長を「集団思考」とみているオーストラリアの研究者を海外共同研究者とし、異文化の光の元で「研究授業」における「集団思考」の質にメスを入れていくことで、「研究授業」における「集団思考」様相をその質において具体的に明らかにする。平成22年度は、日本で行われた第5回EARCOM国際会議において「集団思考」の質を決定付ける授業課題の役割について研究発表を行った。また、小学校算数問題解決型の授業に焦点を当て、そこでの「集団思考」の様相を板書に焦点を当てて明らかにした。さらに、本研究の海外協力者Susie Groves氏らと連名の研究論文を執筆し、これを基にAERAにおいてシンポジウムを行った。具体的にはThe Critical Role of Task Development in Lesson Studyというテーマで発表し討議した。研究の成果はSpringer社から出版されたLesson Study Research and Practice in Mathematics Education : Learning Togetherに所収された。
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Proceedings of the 5^<th> East Asia Regional Conference on Mathematics Education EARCOME5, Tokyo, Japan.
巻: Vol.1 ページ: 86-93