研究概要 |
本年は研究計画に記載したとおり, 連携研究者の協力のもと国際研究集会MSJ-SI "Probablistic approach toward Geometry"を7月28日〜8月8日京都大学で開催した. 4つのテーマ「ランダム群」(Y. Ollivier), 「質量輸送」(C. Villani), 「熱核」(L. Saloff-Coste), 「ラフパス」(T. J. Lyons)に関するサーベイ講義をそれぞれ4時間ずつ設け, 同時に井関裕靖、V. Kaimanovich, J. Lott, R. J. McCann, 塩谷隆、楯達也、A. Thalmaier, B. Virag, A. Zukなど, 世界の主導的研究者22名を招聘し, 最新の結果を連携研究者で共有し, 研究目標とする個々の問題の理解を深めた. 特にC. Villaniの質量輸送と距離測度空間の曲率の関係では, 背後にある大偏差やエントロピー評価の役割が明確になり, 次年度以降の研究指針を得た. 成果をまとめたプロシーディング作成を熊谷, 日野, 小谷で進めている. また, この指針に基づき流体力学極限と局所平衡におけるエントロピー評価についての勉強会をい, 確率論を用いた格子気体モデルに幾何的情報を取り込む可能性について議論した. ランダムシュレーディーンガー作用素のスペクトルやIDSに関する非可換幾何的アプローチについての情報収集を行った. 研究成果として, 数学から提案されたK4格子を炭素結晶として合成する可能性について計算機によるシミュレーションを行い, またその物性を調べた結果, メタ安定性, 電導性などを持つことが分かった.
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