研究課題/領域番号 |
20244007
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
相川 弘明 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20137889)
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研究分担者 |
志賀 啓成 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (10154189)
木上 淳 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90202035)
利根川 吉廣 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80296748)
平田 賢太郎 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30399795)
大野 貴雄 大分大学, 教育福祉科学部, 講師 (40508511)
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キーワード | Harnack不等式 / 境界Harnack原理 / 楕円型作用素の摂動 / Cauchy積分 / ヘルダー連続性 / 変動指数 / 確率過程 / 平均曲率流 |
研究概要 |
研究代表者は古典的なHarnack不等式を拡張し,途中に障害物がある場合でも同様の結果が得られる条件を発見した.その応用として対数型の連続率を持つHolder領域に対して,境界Harnack原理を導いた.障害物を許したHarnack不等式は今まで考察されたことがなく,様々な応用・発展が期待される. 研究分担者は以下のような多様な成果を導き,ポテンシャル問題を豊かに展開した. 「定数関数1が付随する楕円型作用素の半小摂動である」ための特徴付けと初期値問題の非負値解の一意性が成り立つための最適な十分条件を与えることにより,熱方程式の非負値解の構造を解明した. 優調和関数と半線形楕円型方程式の解のヘルダー連続性と除去可能集合のハウスドルフ次元の関係について考察した. Cauchy積分の境界値と境界関数を定義する特異積分の連続度に新しい知見を得た.リーマン面のモジュライ空間の1点の単射半径をその点を表すリーマン面の双曲構造を用いて下から評価した. 媒質について確率1のレベルで確率過程のスケール極限が反射壁ブラウン運動になることを証明した.モデル1:半平面や1/4平面上の優臨界確率ボンドパーコレーションクラスター上の単純ランダムウォーク,モデル2:錐状領域の上に定義された,係数がランダムで一様楕円なdivergence form. 変動指数をもつMorrey空間やOrlicz空間,またその一般化であるMusielak-Orlicz空間におけるSobolevの不等式,Hardyの不等式,容量等の研究を行った. k次元曲面族が平均曲率流であるとは,速度が平均曲率に等しいときであるが,その高さが小さいときには内部正則に関するノルム評価ができることを示した. 単位円板上で正規化された正則函数のベキ変形を考察し,変形が単葉となるような指数全体の集合の基本的な性質について調べた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的はポテンシャル問題の新局面を多面的に展開することである.研究代表者は古典的ポテンシャル問題のHarnack不等式を今までにない,除外集合を許容する形に拡張した.想定されていなかった問題意識があるので,今後の応用・展開が期待される.研究分担者は複素解析学,偏微分方程式や確率論,物理現象などに様々な問題を開拓し,ポテンシャル問題を豊かにするとともに,将来の発展方向を示すことができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は本研究課題の最終年度にあたる.平成24年9月に京都大学数理解析研究所で本研究課題に密接に関係する国際研究集会「Potential Theory and Its Related Fields」を開催する.国内外の一流の研究者と問題意識を共有することによって,ポテンシャル問題のさらなる発展を目指す.また,研究代表者は6月にFinland-Romaniaセミナーに招待されている.除外集合を持ったHarnack不等式が様々な角度に拡張される可能性があることを報告し,多くの研究者がポテンシャル問題に参画できるように努める.研究分担者はポテンシャル問題の様々な発展を,他分野との連携を通して行う.また,若手奨励など幅広くポテンシャル問題の裾野を広げる研究活動を行う.
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