研究概要 |
大学の近くにある国土地理院の32mアンテナを用いて(共同研究協定は締結済)天の川銀河全面の高密度ガスの掃天観測を行うため,アンモニアの23GHz帯の広周波数帯化と高感度化の開発を行った。 1.受信機システムの性能向上のために,開発や精密な性能測定が実施できるように,スペクトルアナライザ等の実験室環境を整備した。 2.アンモニア分子の(J, K)=(1,1)-(5,5}に加えて(6,6}を観測できるように第2中間周波数帯を増設し,電波分光計1台を接続できるようにした。 3.受信感度を向上させるため,従来の左回偏波に加えて右回偏波を受信検出できるように中間周波数部1系統と電波分光計1台を増設した。これによって観測時間を2倍増やしたのと同じ効果が得られ,感度が21/2倍良くなった。これは天の川銀河全体のアンモニアを観測するのに従来の装置では例えば10年かかるものが5年ですむことになり,飛躍的な向上である。 4.既存のものを含む電波分光計の温度変化を抑え,出力電力の値の安定化をはかってスペクトルのベースレベルのうねりを低減した。これにより実質的な感度向上をはかることができた。 5.天体のアンモニア強度を正確に測定するために,アンテナの性能を精密に測定し,それによる損失を正しく補正するシステムを開発した。
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