研究概要 |
大学の近くにある国土地理院の32mアンテナを用いて(共同研究協定は締結済)天の川銀河全面の高密度ガスの掃天観測を行うため、アンモニアの23GHz帯の高感度化の開発を行い、掃天観測を開始した。 1.受信機の高感度化:中間周波数変換部の増幅器等をより安定なものに交換し、また細部に渡って調整して受信機システム全体の利得の安定化を図った。これによって電波分光計の出力である天体のスペクトルの実効雑音を減少させ、良質で低雑音のアンモニアスペクトルを得ることができるようになった。 2.観測手法の確立:大気の吸収を十分補正してアンモニアの強度を正しく得ることと実効雑音を最小にするためのアンテナの駆動方法を確立した。アンテナを目的天体とそれから少し離して大気だけを見る方向を交互に観測するに際して、各観測時間を10秒程度にすることが観測の効率と実効雑音の低減の両立を図るために最適であることを明らかにし、実際の観測に適用している。 3.天の川のアンモニア掃天観測の観測開始:アンモニアの(J,K)=(1,1)~(6,6)の6本の輝線を天の川に沿って同時観測することを開始した。アンモニア強度の強い天の川銀河の中心付近から開始し、徐々に外側の領域に観測範囲を広げている。
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