研究概要 |
大学の近くにある国土地理院の32mアンテナを用いて(共同研究協定は締結済)天の川銀河全面の高密度ガスの掃天観測を行うため、アンモニアの23GHz帯の高感度化の開発を継続し、掃天観測の観測範囲を拡大した。 (1)受信機の出力が変動し観測したスペクトルがゆがむ原因を追究したところ、受信機周囲の温度の変化ときれいに相関していることがわかった。その理由を調べたところ、温度変化にともなって受信機各部のケーブルの伝送率が変動していることがわかった。そこでケーブルに断熱処理を施して温度を安定化させたところ、受信機出力も安定化させることができた。これによって観測効率が大幅に向上させることが期待できる。また各部の調整や部品の交換等により高感度・安定化も図った。 (2)天の川銀河の銀経=-0.1°~+1.3°、銀緯=-0.1°~+1.3°の範囲をアンモニアの反転遷移(J,K)=(1,1)~(6,6)輝線の6本のスペクトルを同時観測した。明瞭に輝線が検出され、これからアンモニア分子ガスの励起温度、光学的厚み、柱密度、オルソ・パラ比などの物理量を導出する予定である。次年度以降もアンモニアの掃天観測は継続する。 (3)7月25日に32mアンテナに非常に大きな落雷があり、アンテナ駆動系のエンコーダや2GHz/8GHz受信機と20GHz帯受信機のビーム切り替えミラーの制御系など多くの箇所が故障し、年度末まで観測が不可能であった。
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