研究概要 |
1)惑星形成の理論モデルの発展 Kepler衛星による観測などによって大量の系外地球型惑星が発見されるようになった一方で、ドップラー法やトランジット法に加えて、直接撮像によって巨大ガス惑星の軌道分布の統計的性質が明らかになってきた。われわれが昨年度までに開発した惑星形成モンテカルロ・コードに、N体シミュレーションの結果をもとにして、巨大ガス惑星同士の近接相互作用の効果を入れて惑星形成のシミュレーションを行い、巨大ガス惑星の軌道分布の再現を行った。その結果、標準的なコア集積モデルにのもとでも、30AU以遠の縁に近い軌道の巨大ガス惑星が数%の惑星系で形成されることがわかった。 2)すばるN2Kプログラムのフォローアップの推進 短周期のホット・ジュピターに特化した、系外惑星探査プロジェクトのすばるN2Kプロジェクト(佐藤PI,井田Co-Iの日米合同の視線速度観測プロジェクト)は終結したが、そのデータから長周期の巨大ガス惑星の兆候が得られたので、視線速度観測のデータの解析方法の再検討を徹底的に行い、既存データからの惑星軌道決定の精度を著しく向上させ、さらに国立天文台岡山観測所の188cm望遠鏡を使って継続的に追加データを取得し、長周期の巨大ガス惑星を数個発見し、軌道決定に向けて追加データを取得中である。一方で、ホット・ジュピターのトランジット(食)観測のフォローアップおよび新たにA型星のホット・ジュピターのサーベイをアマチュアネットワークおよび東工大での観測により進めた。
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