研究課題/領域番号 |
20244014
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福井 康雄 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30135298)
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研究分担者 |
松元 亮治 千葉大学, 理学研究科, 教授 (00209660)
野澤 恵 茨城大学, 理学部, 准教授 (10261736)
河村 晶子 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (30377931)
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キーワード | 電波天文学 / 星間分子雲 / 理論天文学 / 磁気浮上ループ |
研究概要 |
銀河系中心部の磁気浮上ループに対する詳細な研究を引き続き行なった。 ループ1および2全体についてCO分子の2つの回転輝線(J=2-1および3-2)の解析を行なった。 これら2つのスペクトルは各々励起状態が異なり、両者の比が密度および温度によって変動する。この性質を利用し、ループ内の密度及び温度を導くことができる。この解析によって、磁気浮上ループの全体に渡り、分子ガスの温度が30Kを超える高いものであることが明らかになった。また分子ガスが落下して形成されるフットポイント以外の場所でも、空間的に広く励起状態の高いガスが存在することが明らかになった。このことは、ループの磁気浮上が毎秒30km以上の超音速で運動するために、ループの全面に渡って衝撃波面が形成され、高い励起状態が生じていることを示す。また、ループ2の上部には、ループに対して垂直な方向に伸びた複数の突起が存在することが明らかになった。 この突起は浮上運動に伴うレイリーテイラー不安定性によって生じた可能性が考えられる。さらにループ1、2および3のフットポイントの形状と速度分布の特徴的なパターンを解析することによって、U字型またはL字型の分布が共通して見られることを見いだし、簡単化したループのモデルを用いて、これらのパターンが統一的に説明できることを示した。この理解は、今後他のループの特定において活用ができるものと予想される。以上の成果は、磁気浮上ループの観測的な特徴を統一的に理解する上で重要な前進と位置づけられる。
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