研究課題/領域番号 |
20244021
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森 俊則 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 教授 (90220011)
|
研究分担者 |
大谷 航 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 准教授 (30311335)
岩本 敏幸 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (20376700)
|
キーワード | 素粒子実験 / 国際協力 / ミュー粒子 / 超対称性 / 力の大統一 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、測定器性能向上に向けての研究開発が進められた。 液体キセノン検出器に関しては、まず光電子増倍管(PMT)のゲインが実験中のバックグラウンド光強度に依存して変動する問題について詳細な測定がなされた。測定結果に基づき測定器応答を補正するとともに、新型高量子効率PMTの開発にフィードバックがかけられた。またパルス中性子源を用いた新しい較正法が考案された。これは熱中性子がニッケルターゲットで吸収される際に放出される9MeVガンマ線を利用したもので、パルス中性子を用いることで実験を中断することなく検出器較正が行えるという利点がある。システムは既に完成しており、9MeVガンマ線の発生が確認されている。さらに液体キセノン中でのシンチレーション光伝播に関する研究も行われ、測定器壁面での反射光の偏極の影響が無視できないことが判明した。この効果を正しく取り入れることでPMTの量子効率の測定精度向上が期待される。一方陽電子スペクトロメータに関しては、スペクトロメータ内での散乱による検出効率の低下に対して対策が練られ、信号ケーブルおよびその支持構造の軽量化、前段増幅回路の低物質量化等がまとめられた。また、開発した低物質量ドリフトチェンバーが長期運転で性能劣化する問題があり、精査した結果カソードフォイルに放射線損傷と見られる現象が見つかった。スパッタリング強度を向上させたフォイルを新たに製作して性能評価を行っている。 本研究は、ここで得られた研究成果の具現化を目指す特別推進研究へと発展して年度途中で廃止となったため、研究成果のとりまとめを急いでいる。
|