研究課題/領域番号 |
20244028
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
細谷 裕 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50324744)
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研究分担者 |
波場 直之 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00293803)
尾田 欣也 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60442943)
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キーワード | 素粒子理論 / ヒッグス粒子 / ゲージ・ヒッグス統合理論 / ニュートリノ / ブラックホール / 細谷機構 |
研究概要 |
素粒子の標準理論のほころびが最初に現れるのはヒッグス粒子が関与する部分だろうし、世代の起源を明らかにするには標準理論を超えることが不可欠である。来年から始まるLHCの実験でヒッグス粒子の発見は確実であり、超対称性粒子が存在するかどうかも明らかになるだろう。新粒子の発見、ヒッグス粒子の相互作用の確定を通して、現在の電弱統一理論の基本的枠組みが正しいか、対称性の破れの起源は何か、そして3世代あるクォーク・レプトンの起源は何かなどを明確にするのが本研究課題である。これらを踏まえ、細谷達は高次元ゲージ理論でヒッグス場とゲージ場を統合するモデルを展開した。Randall-Sundrum時空上で、現実的なクォーク・レプトンを含むSO(5)xU(1)モデルを構成し、トップクォークの寄与が大きく、電弱対称性が自発的に破れることを示した。この対称性の破れは、余剰次元におけるAharonov-Bohm効果として、細谷機構により引き起こされる。細谷達のモデルでは、Aharonov-Bohm位相はちょうど90度の値をとり、ヒッグス粒子の質量は50GeV程度に予言された。これは一見、LEP2の実験からくる制限と矛盾するようにみえるが、実は、ZZH結合がちょうど零になり、LEP2の実験とは矛盾しないことも示された。標準理論からの大きなずれはヒッグス粒子の他の場への結合の仕方に現れる。Aharonov-Bohm位相が90度のとき、WWH, ZZH結合だけでなく、クォークの湯川結合も零になる。これらの予言はLHC実験で検証可能である。もし確認されれば、対称性の自発的破れの構造が、標準理論から大きくずれることになり、その意味は非常に大きい。
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