研究概要 |
LHCでヒッグス粒子らしきものが発見されたが、その正体は不明である。標準模型で想定されているものなのかどうか、あるいは、新しい物理を示唆するのかどうかを検証せねばならない。本研究課題では、余剰次元でゲージ場とヒッグス粒子を統合するゲージ・ヒッグス統合理論、標準理論,超対称性理論の見地からヒッグス粒子の正体に迫った。また、ニュートリノを手がかりに新しい統一理論も構成した。特任研究員として幡中久樹氏を雇用した。 細谷は、質量126GeVのヒッグス粒子を実現するSO(5)xU(1) ゲージ・ヒッグス統合理論を構成した。5次元目のAB位相, KK質量, ヒッグスボゾンの3点,4点結合定数, ZボゾンのKK励起粒子の質量などの間に、理論の詳細によらない普遍的な関係があることを発見した。このことは、一つの量(AB位相)が決まれば、他の量が予言され、今後の実験で検証できることを意味する。また、ヒッグス粒子の2光子への崩壊幅も評価し、KK粒子の寄与は非常に小さい事を示した。 波場は、ヒッグス粒子が超対称性理論における複合粒子で構成されている可能性を示し、その場合、LHC実験における2光子への崩壊のずれが説明できることをしめした。 尾田は、標準模型において裸の結合定数を用いて裸のヒッグス質量への二次発散する寄与を1ループ及び2ループで求めた。裸の質量の切断スケールへの依存性を求め、トップクォーク質量が170GeVであれば、このスケールはプランクスケールとなることを示した。 2013年3月13日~15日には、「International Workshop: Toward Extra Dimensions on the Lattice」を大阪大学で開催した。約60人(外国から10人)参加者があった。
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