研究課題/領域番号 |
20244035
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
梶野 敏貴 国立天文台, 理論研究部, 准教授 (20169444)
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研究分担者 |
野本 憲一 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (90110676)
青木 和光 国立天文台, 光赤外研究部, 助教 (20321581)
早川 岳人 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部, 研究主幹 (70343944)
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キーワード | 超新星 / ニュートリノ振動 / 元素合成 / アイソトープ / 乱雑位相近似(RPA) / ガモフテラー遷移 / プレソーラーグレイン / 高分散スペクトログラフ |
研究概要 |
超新星ニュートリノ元素合成の理論予測と天文観測・隕石組成分析との比較から、未知のニュートリノ振動パラメータを決定する方法論を確立することが当初の目的であり、以下のような進展があった。 1.ベータ崩壊によるキャリブレーションが可能な低励起エネルギー領域は原子核殻摸型、100MeVに及ぶ高励起エネルギー領域は準粒子ランダム位相近似(QRPA)模型を用いて、ニュートリノ・核反応断面積を理論的に計算した。電磁相互作用による荷電交換反応実験と逆コンプトンガンマ線実験との比較から、弱い相互作用の核行列要素を推定する研究を開始した。 2.重力崩壊型超新星爆発とガンマ線バースト(コラプサー)の理論モデルを構築した。 3.核反応とニュートリノ反応に加え、中性子過剰アクチノイドの非対称核分裂過程を組み込んだr過程元素合成コードを構築した。爆発天体の流体シミュレーション結果を用い、元素合成をポスト・プロセスとして数値的に計算した。 4.アイソトープ分離を行う天文観測装置(イメージスライサ)の開発を行い、すばる望遠鏡・高分散高分解能スペクトログラフに装着して全国共同利用による天体観測を開始した。 5.Li-6,7、Be-9、B-10,11、Mn-55、Co-59、Nb-92、Tc-98、La-138、Ta-180の生成過程を明らかにした。 6.Nb-92が超新星ニュートリノ元素合成に起源を持つことを見つけ、新たな宇宙核時計を提案した。 7.2011年にプレソーラーグレインに発見されたLi-7とB-11の存在比と、2011-2012年に明らかにされた長軌線および原子炉ニュートリノ振動実験による振動パラメータθ13を用いて、超新星元素合成の理論計算から「ニュートリノ逆質量階層」が統計的に優位であることを見いだした。
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