研究概要 |
本測定に向けた装置開発において、2つの加速ギャップと1つの加速空洞からなる1台のプレバンチャーと、幅10mmの薄板電極を積み上げた多層型ビームチョッパーを開発し、実験条件を充たす時間構造(2~4MHz,半値幅20ns以下)を持つ高強度(約6μA)パルスビーム生成に成功した。 これにより計画通りE_<cm>=2.1,2.3,3.4MeVのエネルギー点で行うことができた。現在取得データを解析しており、研究期間内の論文公表を目指している。測定エネルギー領域では、^<12>C(α,γ)以外の予期せぬ反応によるγ線が多く、E1/E2成分の精度良い分離を妨げている。他方、新たな原理によるビームバンチング装置については、これまでに学会等で報告して来たが、その原理、特徴、性能についての総合論文を執筆中である。今後このエネルギー領域での高精度測定をさらに進めて行く上では、バックグランドγ線の由来追求が最も重要となることから、測定に用いた高純度標的の成分分析を急いでいる。 最終的には、E_<cm>=300keVに出来るだけ近い低エネルギーかつ高強度αビームによる測定を目指しており、本研究による新ビームバンチング法に基づく高強度ビーム生成には、目処が立った。他方、高強度ビームに耐える高純度^<12>C標的の開発が途上であり、成分分析とともに、実験条件を満たす標的の開発を推進している。 研究グループでは、本研究課題である^<12>C(α,γ)^<16>Oを含め、^8Liが関与する反応率の系統的測定などを平行して進めて来た。これらの軽い質量数の核反応データの蓄積を基礎に、超新星爆発時における重元素合成過程、特に金・白金等の元素を速い中性子捕獲過程で生成して行くための天体環境の詳細な研究を推進しつつある。
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