研究概要 |
<量子ドット中のスピンの時間分解カー回転> 時間分解Kerr回転を用いて,チャージチューナブルInP量子ドットおよびCdTe量子ドット,CdMnTe量子ドットのスピンダイナミクスを研究した。チャージチューナブルInP量子ドットにおいては,1電子ドープの際にはドープされた電子スピンの才差運動,中性のときには電子。正孔間の交換相互作用で特徴づけられる励起子の才差運動が観測された。CdTe量子ドットでは,低温から温度を上げると正孔が障壁層に熱励起され電子。正孔間の交換相互作用が効かなくなるのに対応して電子スピンの才差運動が観測された。光励起の配置の工夫により電子スピンのg因子の符号を求める新しい方法を考案し,実証した。CdMnTe量子ドットの場合は,電子スピンと血スピンの才差運動が観測され,電子スピンの才差振動数は常磁性的に振る舞うMnスピンとの相互作用を明快に表している。 <GaP中のNNNクラスタ> GaP中にN原子をデルタドープしたときに形成される等電子トラップに顕微発光分光法を適用して,542.2nm付近に新しい発光ピークを観測した。その発光中心はドープ濃度の3乗に比例して形成され,3つの窒素原子が近接するPサイトを置換した時に形成されるNNNクラスタと結論された。発光エネルギーと偏光依存性を詳細に調べることによって,このNNNクラスタは,[110]方向に並んだ第四近接NNペア(NN4)の近傍にもう一つのNが付け足された構造を持っていることが明らかにされた。単一NNN発光の強度相関関数をHanbury-Brown and Twiss型の強度干渉計で測定し,アンチバンチング的振る舞いを観測し,単一光子発生が確認された。
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