研究課題
本年度の研究成果は以下の通りである。特異なラシュバ効果の起源の解明に原子構造の決定は不可欠である。Si(111)表面にBiを吸着させると吸着量に依存して異なる2つの(√<3>×√<3>)再構成表面が形成されることが知られており、低速電子線回折(LEED)などで構造の周期性を観測したのみではどちらの相を得ているのかがわからない。そこで、Biの吸着量に依存したLEEDのI-V測定より、2つの相のLEEDパターンにおけるスポット強度の振る舞いの違いをもとめるとともに、両相の原子構造を決定した。また、これまで報告のない、1/3MLの吸着量で形成されるα(√<3>×√<3>)相の電子構造を角度分解光電子分光により測定した。これまでの研究でC_3、C_<3v>、C_<1h>対称性を有する表面ブリルアンゾーンの対称点は特異なラシュバ効果が発現する可能性を有することがわかった。そこで、LEEDのI-V測定よりTi/Si(110)-(1×1)表面の原子構造を決定したところ、この表面がC_<1h>対称性を有することわかった。この結果は同表面のブリルアンゾーンのГ点で、これまで報告のない、例えば渦構造を示さない特異なラシュバ効果が発現する可能性があることを示す結果である。角度分解光電子分光によりTl/Si(001)-(2×1)とSn/Si(111)-(2√<3>×2√<3>)、-(1×1)表面の電子構造を測定し、その結果を理論計算と合わせることにより、表面準位の起源を解明した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)
Surface Science
巻: 604 ページ: 1044-1048
Physical Review B
巻: 81 ページ: 205422-1-205422-5
巻: 81 ページ: 235410-1-235410-9
巻: 82 ページ: 073408-1-073408-4