Ce_3Pd_<20>Si_6の磁気相図 この化合物は「_8四重項基底状態を有する系で、多極子秩序の可能性が期待されている。磁化測定により、80mK、12Tまでの磁気相図を明らかにした。ゼロ磁場では0.45Kおよび0.22Kに相転移があり、前者は磁場とともに上昇を示した。この結果は0.45Kの転移が反強四極子転移である可能性を強く示唆する。また0.22K以下の磁気相では磁気異方性が極めて小さ<、新奇な秩序変数の可能性がある。 URu_2Si_2のパウリ常磁性効果 この物質は重い電子系超伝導体で、これまでの研究からパウリ常磁性効果が強く働いており、Hc2における転移が低温で1次になることが予想されている。これを確認するため、正方晶a軸方向の磁化測定を150mKで15Tまで行ったが、明確な1次転移は観測されなかった。しかしこの系のa軸磁化率はもともと非常に小さいので、測定感度が不十分で観測されなかった可能性がある。次年度、後に述べる新開発のキャパシタンスセルを使って再実験を試みる。 α-YbAlB_4の価数クロスオーバー この化合物は相転移を示さない重い電子系物質で、フェルミ液体的性質を示す。これまでの実験から3T以上の磁場で電子比熱係数が著しく減少することがわかっている。この系の磁化測定を100mKで15Tまで行ったところ、3T付近で磁化がメタ磁性的挙動を示し、高磁場で緩やかに飽和に向かうことがわかった。この結果は、3T付近でYbの価数のクロスオーバーが起こっていることを示唆している。 高感度キャパシタンスセルの開発 本研究課題では、極低温の磁化測定にキャパシタンスセルで力を検知するファラデー法を用いる。測定感度はキャパシタンスセルに大きく依存している。今年度、キャパシタンスセルの改良を行い、従来に比べて2倍の感度を実現することに成功した。次年度以降、このキャパシタンスセルを用いて、Alの核スピン磁化など磁化の小さい試料の極低温磁化測定を行う。
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