研究概要 |
対称性は自然界の基本原理に関わるもので、物理量の保存法則の背後には必ずある種の対称性が存在する。一方、自然界には「対称性の破れ」も遍在する。対称性の破れはしばしばまったく新しい物理現象をもたらす。本研究は、結晶の空間反転対称性の破れが生み出す新奇な超伝導の物理を物質合成と核磁気共鳴(NMR)を中心とする測定法により実験的に解明し、さらに新しい超伝導体の創製を目指すものである。当初の計画は下記に列挙するものであった。 (1)空間反転対称性の破れた(NCS)超伝導体Li_2(Pt_<1-x>Pd_x)3Bの作製、評価及びNMR測定を行い、スピン軌道相互作用の変化と超伝導状態の変遷を明らかにする。 (2)NCS超伝導体Mg10Ir19B16などにおいて、クーパー対の対称性をNMR法によって調べ、Li_2(Pd,Pt)_3Bと比較することによって、空間反転対称性が破れた超伝導体の普遍的な法則を見出す。 (3)上記の研究に基づき、新しいNCS超伝導体を作製する指針を得る。
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