研究課題/領域番号 |
20244070
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤本 博己 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50107455)
|
研究分担者 |
伊藤 喜宏 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30435581)
木戸 元之 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10400235)
日野 亮太 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00241521)
|
キーワード | ゆっくり地震 / 海底測地観測 / 海底地震観測 / 沈み込み帯 / 音響測距 / 海底圧力観測 / 超低周波地震 / スロースリップ |
研究概要 |
発生が予測される巨大地震(大地震)の震源域において、歪蓄積および解放過程を明らかにすることは、地震の発生予測のみならず、地震現象そのものを理解する上で重要である。プレート境界における歪は地震のみにより解放されているわけではなく、プレート境界における非地震性のすべりでも解放されている。特に日本海溝では、その割合は大きく70%程度を占める。非地震性のすべりは大地震の後の余効変動や地震波を放射しない超低速の間欠すべり,あるいは定常的な安定すべりによって解放されていると考えられているが、実際に直接観測により検知されたものは余効変動を除くと、ほとんどない。本研究は沈み込み帯において地震学的および測地学的観測を行い,様々な時定数のゆっくり地震の観測および地震に伴う流体の移動の観測を実施し、ゆっくり地震の発生過程を明らかにすることを目的とする。H22年度は、(1)H20年度から引き続き日本海溝付近の海底に設置した海底圧力計、海底短周期地震計、および海底長周期地震計の回収および再設置作業を行った。さらに、(2)日本海溝においてGPSと海底音響測距に基づく長基線の海底地殻変動の観測をH20年度から継続して実施した。(3)H22年度は南海トラフの熊野灘の分岐断層を挟んで短基線測距を行った.H22年度の主な成果としては、(1)H21年度に圧力計記録から検出した海溝型地震に先行する地殻変動が陸上観測点の歪計記録にも見られること、(2)短基線の海底音響測距の検出分解能が1cm以下であることを示した.特に観測を行った分岐断層周辺で発生した2009年の超低周波地震の活動では、断層の変位が短基線測距では検出されなかった.これは超低周波地震活動に伴う分岐断層の変位は1cm以下である可能性を示す.
|