1.海洋物理観測(代表研究者+連携研究者):MCS断面と海洋構造の対応のためのデータを蓄積するために、観測船「かいよう」KY09-08航海(9月)においてCTD(温度塩分圧力プロファイラー)およびXCP(投棄式流速プロファイラー)観測を過去のMCS断面(IBr4)上で行った。 2.海洋反射構造の海洋物理学的解釈(代表研究者+連携研究者):20年度のKY08-E03航海および今回のKY09-08航海のデータを用いて、MCS断面から海洋微細構造の一つであるストレイン場を推定する新しいアルゴリズムを構築した。このアルゴリズムはMCS断面の反射強度パワーを使うという点で新しい。このアルゴリズムを過去に伊豆小笠原海域で行われたMCS断面に適用してストレイン場の二次元マップを得た。特に緯度方向に有意な変化が見られ、内部重力波のカスケード機構であるパラメトリックサブハーモニック不安定と解釈できる結果を得ている。 3.海洋反射イメージングのS/N比向上(代表研究者+連携研究者):地震探査で得られたデータから海洋反射構造イメージを得ようとする際の主要なノイズ源が、前々回、前回のショットの残響にあることを明らかにした。この残響を除去することは困難であるが、残響ノイズの大きなデータであっても、それにプレスタックマイグレーション処理を施すと、S/N比が著しく向上することを見出した。この手法を北西太平洋反射探査データに適用し、黒潮Warn Core Ring(WCR)の反射構造を初めて明らかにした。 4.乱流の直接観測(分担研究者):マルチチャンネル反射法地震探査(MCS探査)から得られたファインスケールのストレインの情報に基づく鉛直乱流強度の推定値と比較するため、天皇海山列/アリューシャン海嶺付近、伊豆-小笠原海嶺付近において、超深海乱流計VMP-5500を用いた海面から海底直上までの乱流直接観測を行い、鉛直乱流強度の水平分布および鉛直分布に関するデータを集積した。
|